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2023年2月23日

トルコで発生した地震についてディレクターからのメッセージ

2月6日早朝、トルコ南東部にて、マグニチュード7.8の地震が、また、その後M7.5の地震を含む多くの余震が発生している。震源が浅い直下型地震であることに加え、南東部の大都市であるGaziantepやKahramanmaraşなどが含むため、耐震性の低い建物の倒壊、また、夜明け前の早朝での発生であった為、多数の死傷者を含む大きな被害となってしまった。

A Message from Our Director Regarding Earthquake MOL Turkey

多くの断層に囲まれるトルコは日本同様に地震の多い国である。イスタブルも北アナトリア断層の上にあり、地震が東から西に移動していることから、大きな地震がいつ来てもおかしくないと言われている。

尚、今回の地震は、東北震災の様な海のプレートが陸のプレートに沈み込むプレート境界で発生する海溝型地震ではなく、プレート境界で発生した横ずれ型である。北・東アナトリア断層の平均変位速度は2~3cm/年と、日本の内陸活断層に比べて1桁以上大きい値になっており、トルコでは日本の内陸地震よりも短い再来間隔で、多くの大地震が発生しやすい環境になっているとのこと。今回の本震の規模は、同じ横ずれ断層である2016年熊本地震の16倍であったし、1995年の阪神大震災は、熊本地震よりもエネルギーの規模が小さかったにもかかわらず、死者・行方不明者は6,437人にも及ぶ大きな被害となったが、これは今回の地震と同じで、人口密集、建物の構造が弱い、冬場の早朝の発生によるものであった。

A Message from Our Director Regarding Earthquake MOL Turkey

私は、トルコに駐在する前、商船三井グループの大阪と九州を結ぶフェリー会社に出向し、旅客部門を担当していた。その時に熊本震災が起きた。地震後、殆どの団体旅行の予約がキャンセルされ、大変な事態になってしまった。何とかしなければと思い辿り着いたのがボランティアに参加する人々の輸送であった。その為、多くのボランティア団体や大学などとの接点を作り、輸送、宿舎の手配など、ボランティア団体が、ボランティア活動に専念できる様に取り組んだ。今回の発生後の状況をニュースなどで見ていると、日本との違いやトルコの素晴しいところを再認識することができた。日本では、ボランティアをやる人はやるが、そんなに多くの人がやっているとは思えない。だから、トルコの様に空港に人が殺到する事態にはならない。

日本は、各地の社会協議会が窓口になるが、実際のボランティア活動の調整は民間のボランティア団体が自主的にやっている。その団体の集まりが、個人で来ている人や全国各地の社協などが集めた団体や、大学などが集めた学生の団体などのボランティア活動を調整して、混乱を避けている。しかしながら、企業単位の団体は殆ど見かけなし。しかし、トルコでは、各社報道や写真などを見ているとAFADが指揮して、その下に企業派遣隊が入る感じである。本当に多くの民間企業が率先して、大規模に取り組んでいることが分かった。一部はボランティアなのかも知れないが、多くは会社からの指示によるものではないかと思う。また、今はビジネスをやっている場合ではないと言う感じも漂う。更に、製造業や鉱業が強い国だからこそ、逞しい人が多く、力仕事にも対応でき、二次被害が出そうな現場でも、救難活動を行っている。

日本では、二次被害を考え、一般ボランティアはそのような場所での活動は許されない。そのような場所は、自衛隊などが対応している。発生後、死者数が毎日大幅に増えたのは、救出活動に当たった人数が多く、倒壊現場などで行動できた為、遺体が多く発見できたためではないかと考えている。コロナの時にも感じたが、トルコでは、国難が起きた際の産業界などの民間セクターの動きが、極めて早く、それも大規模なことに感銘を受ける。

A Message from Our Director Regarding Earthquake MOL Turkey

今回も、各社が大規模な救援部隊を送り込み、AFADの指揮の下、救難活動に取り組んでいた。全社挙げての対応を行っている企業も多かった。当社は、職員一人が、兎に角、現場に向かったが、10名程度の会社であり、何か大きな事はできないが、職員が自主的に支援事項を考えてくれている。

トルコの早い回復を祈ります。

片田 聡